Brand New Love

WANDS 13thシングル「Brand New Love」：軌跡と魅力

1998年発表のWANDS 13枚目のシングル「Brand New Love」は、バンドにとって転換期を象徴する作品と言えるでしょう。第3期WANDSとしては2作目となるこのシングルは、前作から約5ヶ月ぶりのリリース。当時としては異例ともいえる、ZARDの坂井泉水氏による作詞という事実が、楽曲に独特の深みを与えています。

ジャケットには初めて第3期WANDSのメンバーが起用され、バンドの新たなスタートを印象付ける重要な作品となりました。しかし、商業的な成功という点では、1992年の「ふりむいて抱きしめて」以来となるトップ10入りを逃し、売上枚数も10万枚を下回る結果に終わりました。これは、バンドを取り巻く状況や音楽シーンの変化を反映していると言えるかもしれません。

楽曲の魅力：トランスロックナンバーの洗練

表題曲「Brand New Love」は、三菱自動車「ミラージュマリオン＆チャレンジャーシティクルージング」のCMソングとして起用されました。イントロは坂井泉水氏のヴォイスから始まり、トランスロックナンバー特有の疾走感と、様々なサンプリング音やスクラッチ、ラップアレンジが織りなすスペイシーなサウンドが特徴です。公式サイトでは、「シンプルなロックサウンドに数種類のサンプリング音やスクラッチ、ラップのアレンジを施すことによって、今までにない程、ドライブ感溢れるスペイシーな作品に仕上がっている」と評されており、そのサウンドの斬新さが際立ちます。

ギタリストの杉元一生氏は、過去に本曲を雑誌『ギターヒーロー』で自身の活動における転機となった曲として挙げており、楽曲が持つ影響力の大きさを示しています。レコーディングは1997年12月に行われましたが、開始から数週間で歌詞が大幅に書き換えられたというエピソードからも、楽曲完成までの過程の熱意が伝わってきます。13thシングル候補にはもう1曲有力な楽曲があったようですが、「Brand New Love」が最終的に選ばれたことは、バンドにとって重要な決断だったと言えるでしょう。

豪華な参加ミュージシャンと意外な繋がり

この楽曲には、WANDSメンバーに加え、多くの実力派ミュージシャンが参加しています。SO-FIの大島こうすけ氏（WANDS初代キーボーディスト）や佐々木美和氏によるラップ参加は、楽曲に独特のスパイスを加えています。興味深いのは、レコーディングにおいて、ラップ参加者とWANDSメンバーの直接的な接触は無かったという点です。また、坂井泉水氏と大島こうすけ氏にとっては、この楽曲が唯一の共演作となっています。

ライブでのカバーとリメイク：時を超えた「Brand New Love」

「Brand New Love」は、ライブにおいても特別な存在感を持ち続けています。杉元一生氏率いるバンドLIT-HUMは2009年にセルフカバーを行い、また、和久二郎氏（現・松元治郎氏）は2012年12月のソロライブで初披露しました。このライブには綿貫正顕氏もゲスト出演し、15年越しに演奏された「Brand New Love」に対する感慨を語っています。さらに、2021年にはWANDS 18thシングル「カナリア鳴いた頃に」の通常盤カップリングとして、第5期メンバーによるリメイクバージョン「Brand New Love [WANDS第5期ver.]」が収録され、現代に受け継がれる楽曲としての魅力が改めて示されました。

カップリング曲「Hurts Good」：逆境をテーマにしたロックナンバー

カップリング曲「Hurts Good」は、木村氏による作詞作曲。シンセとエッジの利いたギターサウンドが印象的なロックナンバーで、タイトル通り、逆境に立ち向かう歌詞が力強さを際立たせています。

まとめ：時代を超えて愛される一曲

「Brand New Love」は、商業的な成功という面では必ずしも順風満帆ではなかったものの、楽曲そのもののクオリティ、豪華な参加ミュージシャン、そしてライブでの継続的な演奏など、様々な側面から評価できる、WANDSの歴史における重要な一曲と言えるでしょう。ZARD坂井泉水氏とのコラボレーション、そして様々なミュージシャンの参加、そして時を超えて愛され続けるその魅力は、今後も多くのリスナーを魅了し続けることでしょう。

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